基幹業務用の業界標準印刷システムAFP/IPDSについて（第一回） ―AFP/IPDSの誕生からデファクトスタンダードになるまで―

生保損保関係、金融機関や大企業の基幹業務用の業界標準印刷システムであるAFP（Advanced Function Presentation）とIPDS（Intelligent Printer Data Stream）は、元々IBMのERP環境で使われる企業内印刷用に開発されたものでした。AFPはPCLやPSと同様にPDL(Page Description Language、ページ記述言語)の一種であり、企業内で使われる帳票類に最適なページデザインが可能です。更にAFPデータはIBM製のワークステーションAS/400などの画面でも表示可能である点が特徴的です。

従って、企業内に分散している様々な情報資産の一元管理と、それら情報を目的別にドキュメント化するというアーキテクチャも、1984年に発売されたAFPプリンターの第1号機IBM-3800とともに概念が完成していました。昨今、印刷業界で重視され始めたCMS(Contents Management System)の概念はIBMのERP環境で使われていたAFP/IPDSシステムでは、30年以上の歴史が有ると言えます。

 

2000年代に入るとコンピュータ環境はカラーが当たり前となってきましたので、IBMの製品やシステムも積極的にカラー化が進み、同時にAFPのカラー化も重要なテーマとなってきました。しかしカラー化を進める上での問題点として出てきたのは、カラープリンター、ディスプレー他のハードウェアの開発生産と、カラーマネージメントの為のソフトウエア開発などを自社内で開発する事の限界でした。

そこで考えたのは、外部プリンターメーカー、ソフトウエアベンダーとの協力体制の構築で、2004年10月にIBMはAFPカラーコンソーシアム（AFPCC）を設立し活動を開始しました。その結果としてAFPのカラーマネージメント・アーキテクチャの最初の仕様が2006年5月に完成しました。

AFPカラーコンソーシアムの成功により、IBMは外部企業との協業の重要性を認識しAFPアーキテクチャの全範囲をコンソーシアムメンバーに開放する事にしました。新たなコンソーシアムはAFP Consortium (AFPC)と命名され、参加企業34社で2006年9月から活動を開始し現在に至っています。

AFP Consortium 参加企業一覧（2008年5月時点）

Assentis Technologies,

CDP Communications,

CRE-DO,

Cincom,

Compart Systemhaus,

COPI,

Crawford Technologies,

DocPath Corporation

Document Sciences,

Elixir Technologies,

Emtex,

GMC Software Technology,

Pitney Bowes Group 1,

HP,

IBM,

InfoPrint Solutions Company/Ricoh,

Intense Technologies,

Invaris

Inventive Designers,

ISIS-Papyrus,

Kodak/Intermate,

Levi,

Ray & Shoup

Lexmark,

Metavante,

MPI,

Océ,

PrintSoft Americas,Inc.

Punch Graphix,

RenderX,

Skywire Software

Solimar Systems, Inc.,

StreamServe,

Xenos Group Inc.

Xerox

 

AFP/IPDSアーキテクチャの詳細やプリンターメーカーでの採用事例は、次回以降のコラムで取り上げる事とします。